連載対談「日本のインテリアの行方」

vol.2 ゲスト 町田ひろ子(町田ひろ子アカデミー)

 

創業15周年を迎えるAREAの2017/2018年のブランドテーマは「glam」。このテーマを軸に、2017年9月より、AREA各店では独自企画や多様なブランドとのコラボレーションに取り組み、毎月様々なイベントを開催中です。
ホームページでは、スペシャル企画として連載対談「日本のインテリアの行方」をお届けします。毎回様々なゲストの方をお迎えして、貴重なお話を伺いますので、どうぞお楽しみに。

 

第二回目のゲストは、町田ひろ子アカデミーの町田ひろ子さんです。
 
 
 
 

(野)本日はよろしくお願いします。町田先生にやっぱりお伺いしたいのは、人材育成についてのお話です。人材育成の第一線でずっと活躍されてこられて、今なおトップランナーですからね。日本のインテリア業界全体についてのお話もぜひ。

 

(町)ありがとうございます。日本のインテリアでいうと、バイヤーを含め、日本にインテリアを輸入される方が流行を取り入れながら商品を選んで、色々なものが日本に入ってくるようになりましたが、そこにはいくつか問題があることに気が付いたんです。日本は技術とか仕上げとか、職人さん的な目が肥えているのでその視点で商品を選んできて下さるんですが、ものが優先になっている感じがするんですよね。どうお部屋に配置・コーディネートされて、センス良く暮らしを豊かにしていくのか?という、器に対する提案がまだまだ不足している気がしています。いいものなんだけど日本のインテリアにはサイズが合っていないとか。そういう点では、片手落ちのような感じがしてもったいないなと思っています。

 

(町)私たちは「青山スタイル」http://interiorcoordinate.jp)の中でインターネットでのインテリアコーディネートサービスをはじめたんですが、「思っていたよりスペースが狭くて、どうしたらいいかわからない」とか、不満の声が結構届いたんですよね。コーディネーターはお客様の相談役ですが、そういった点を調整して、豊かなライフスタイルを提案できる新たな人材の養成が必要になったなと感じています。

 

(野)なるほど。おっしゃる通りだと思います。日本はインテリアに関して、まだまだ意識が低いですよね。洋服でもそうですが、自分の体のサイズや特徴を知らなくて着こなせていないという人は多い。知識が豊かになることで、似合う洋服が選べるようになるんですけどね。本当か嘘かわかりませんが、紫の色の洋服を来て日本から北欧に行ったら、向こうではラベンダー色になったなんて話がありました。太陽の光の加減が違うから淡く見えるそうなんですが、色一つにとっても、海外のものが日本に本当に合うのかどうかとか、そういった視点が本来は必要ですよね。

 

(町)よくわかります。グアムのホテルの設計を頼まれた時、全てのカラースキームを日本で決めていったんですが、向こうで見たら「何これ!?」という状態になってしまって(笑)。すぐに使い物にならないとわかって、一から作り直したことがありました。

 

(野)太陽とか空気が違いますから、色負けしてしまうんですよね。

 

(町)知識という点ではもう一つ、インターネットの功罪というのもあると思います。画像だけ見て体験せずにいるから、全然スケールがわかっていない。サイズ感がわからずにインターネットで買ってしまって、失敗している方が多いんです。気軽に買えて便利ではありますが、怖い部分もあるということを知っていただきたいですね。

 
 
 
 

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(町)私が海外から日本に帰ってきた頃、日本の輸入住宅はほぼスケルトン売りだったんです。ほとんど家具が入っていないんですが、皆さんテレビを見て育ってきていますから、インテリアも視覚的に提案することが必要だなと考え、初めてモデルハウスにトータルで家具を入れて販売することを提案しました。その時に生まれたのが「トータルコーディネート」という言葉です。

 

(野)素晴らしい発想です。それまでは、そういった発想自体がなかったんですね。
 

(町)そうなんです。今ではリフォームをする方が多くなって、いろいろな問題も発生するようになりましたから、また新たな人材を作る必要が出てきました。インテリアコーディネーターの方も、資格を取ってからがスタートなのでもっと勉強していただきたいなと思っています。

 

(野)勉強して知識を増やしていくことは、どの業界でも必要ですね。

 
 
 
 

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(町)今日は、新しく日本で展開を初めたRoche Bobois(ロッシュ ボボア)(https://www.roche-bobois.com)の店舗についても伺ってみたかったんです。ニューオープンの話を聞いて、どんなショールームになるのか楽しみにしていたんですが、私がイメージしていたロッシュ ボボアのシックでエレガントなスタイルとは全然イメージが違いました。

 

(野)メインアイテムの「Mah Jong」というソファですね。ロッシュ ボボアはフランスのブランドで、現在世界60カ国に展開していますが、その中で一番売れているのが「Mah Jong」です。張り地が自由に選べて、ユニット型なので形の組み合わせも自由。今年の春にオープンした日本のショールームでは、現在、ミッソーニのカラフルな張り地でコーディネートされた「Mah Jong」を大きく展示しています。
 
(野)ロッシュ ボボアには大きく分けて「ヌーボークラシック」と「コンテンポラリーコレクション」の2つのラインがありますが、この「Mah Jong」のように、自分の好みに合わせてカスタマイズできる製品がほとんどです。コーディネート次第でいろいろな表情が楽しめるブランドで、自由で気ままなところが魅力の一つですね。

 

(町)面白いですね。あのソファは、かなりインパクトがありました。自由というキーワードは、今の日本のマーケットに足りないものだと思いますし、着眼点が素晴らしいと思います。自分の好きなスタイルで組み合わせられたり、コーディネートできる点もいいですね。

 
 
 
 

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(町)フランスのブランドを始められて、AREAの今後の展開も気になります。

 

(野)AREAは日本生まれ、日本育ちのブランドです。ほとんどの製品がオーダーに対応していて、壁面収納なども空間に合わせてミリ単位で製作することが可能ですから、海外での展開ももちろん視野に入れています。海外で認知され、受け入れられている日本のラグジュアリーインテリアブランドはまだありませんから、まずは僕たちがチャレンジしたいなと思っています。

 

(町)それはどのような形で?
 

(野)僕たちは販売店であり、設計・デザイン・製作をするメーカーでもあります。その点を活かして海外にお店を作りたいというのは昔から考えていました。店舗のイメージもだいたいできていますよ。自分たちの勉強にもなりますし、良い刺激になるのではないかと思っています。

 

(町)びっくりしました。具体的にイメージされているんですね。日本の中だけを見るのではなく、新しいことにもぜひ挑戦していただきたいです。私も海外で暮した経験があったからこそ、今があるので。

 

(野)ありがとうございます。

 

(町)学校は今年で40周年ですし、私たちも自分たちから発信することに挑戦していきたいと考えています。日本のライフスタイルの良さと海外の良いところを織り交ぜて提案していきたいですね。

 

(野)素敵です。その時はぜひご一緒させてください。

 

(町)日本の美学を、ぜひ海外に発信していきましょう。
 

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ゲストプロフィール

町田 ひろ子(まちだ ひろこ)

 
武蔵野美術大学産業デザイン科を卒業後、スイスで5年間家具デザインを研究。’75年にアメリカ・ボストンへ渡り、「ニューイングランド・スクール・オブ・アート・アンド・デザイン(現Suttolk University)」環境デザイン科を卒業。’77年に帰国し、日本で初めて「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱。’78年に「町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー」を設立。’85年「学校法人 町田学園」設立。現在、全国6校のアカデミー校長として、教育活動に務めている。
また、一級建築士事務所・(株)町田ひろ子アカデミーの代表取締役として、インテリア・プロダクトデザイン・環境デザインと幅広いジャンルのプロジェクトを手掛けている。’04年には、英国の名門インテリアスクール「KLC school of design」と提携をし、国際的に活躍できる人材の育成にも力を注いでいる。

 

写真:中村嘉昭

 


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